トライアル雇用とは?助成金とメリット・採用の流れを解説

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トライアル雇用とは?知っておきたいトライアル雇用助成金
昨今、多くの中小企業にとって人材確保は課題となっています。過大な採用コストに圧迫されず、希望の人材を採用していくため助成金制度への注目も集まっています。
今回は、助成金活用が可能な雇用制度のひとつ、トライアル雇用について概要や対象雇用者、申請の流れと注意点などを紹介していきます。
トライアル雇用とは?厚生労働省が定める雇用制度
トライアル雇用とは、厚生労働省が、年齢や就業経験不足、出産や育児により長い期間仕事から離れてしまった女性など仕事に就くことが難しい労働者が、職に就きやすいよう救済処置として作った制度です。
ハローワークから紹介されたトライアル雇用希望者を、企業が原則3ヶ月試雇採用することで、労働者が職場環境に適応できるかどうかを判断し合うようであれば常用雇用へつなげていくという採用システムです。
トライアル雇用助成金の支給額と期間
一定要件を満たし、トライアル雇用で労働者を採用するに至った場合、企業は対象者1人あたり月額最大4万円、最長3カ月の助成金を受け取ることができます。トライアル雇用で採用した者が母子家庭・父子家庭である場合の支給額は、月額最大5万円です。トライアル雇用には、一般のトライアル雇用と障害者限定のトライアル雇用があります。
トライアル雇用の対象要件
トライアル雇用制度を利用するには、採用企業側と応募者側にそれぞれ対象要件が定められています。
トライアル雇用制度の採用企業側の条件
一般のトライアル雇用コースで助成金を受けられる企業の条件としては、ある一定期間、従業員を解雇したことがないことや、1週間の所定労働時間が30時間を下回らないといったことがあげられます。
1週間の所定労働時間が30時間を下回らないというのは、企業が助成金を受給することだけを目的にトライアル雇用を利用し、労働者に仕事をさせない事がないよう定められたものです。日雇い労働者やホームレスであった労働者を雇用する場合は、週20時間を下回らない事が助成金を申請する条件となります。
トライアル雇用制度の就業者側の条件
トライアル雇用の対象となる要件を満たしている人は、過去2年以内に2回以上の転職や離職を経験している人、仕事から離れて1年以上経過している人、 妊娠、出産後、パートではなく安定した職業に就業した経験がない人や、55歳未満でハローワークの担当者制による個別支援を受けているといった人になります。
トライアル雇用制度利用の流れ
企業がトライアル雇用の制度を利用する際の手順としては、下記の通りです。
- ハローワークへ求人票を提出
- 応募者と面接を実施、採用を検討
- 採用希望者の試雇採用を実施
- トライアル雇用開始から2週間以内にトライアル実施計画書を提出
- トライアル期間終了日から2ヶ月以内に助成金を申請
まず労働者を採用したい企業が、トライアル雇用で求人するための求人票をハローワークへ提出します。その後ハローワークを通して応募のあった労働希望者と面接をし、採用を検討します。企業が希望する人材である場合、試雇採用となります。企業は、トライアルでの雇用を始めてから2週間以内に、ハローワークへ、雇用契約書や労働条件が確認できる書類とともにトライアル実施計画書を提出しなくてはなりません。助成金は1カ月ごとの支給ではなく、対象者が3カ月のトライアル期間を終了した日から2カ月以内に助成金の申請をすることで、3カ月分を一括で受給することができます。
もしトライアル対象者が3カ月以内に離職してしまった場合やトライアル期間内に正社員として採用となった場合は、助成金の支給申請期間が変わるので、職業紹介機関へ速やかに連絡をする必要があります。
トライアル雇用を活用するメリット
トライアル雇用と試用期間はシステムが似ているように感じるかもしれませんが、試用期間は常用雇用ありきでの採用であり、職場環境への適性があまり良くないと思われる労働者であっても、企業が解雇するのは難しいのです。労働者を採用するにあたっての助成金支給もありません。
一方でトライアル雇用というシステムを利用すれば、助成金をもらいながら労働者が職場環境へ適応できるかどうかを3カ月かけてみることができるのです。適性があっているようであれば、常用雇用として改めて採用という選択ができます。
1回の面接や書類審査だけで選考をおこなった場合、労働者の人となりや得意不得意を見極めることはとても難しく、時間や労力をかけて採用しても、労働者がすぐに辞めてしまうということもあるのですが、3ヶ月という時間をかけて労働者の適性を判断することで、採用に関するミスマッチを減らせるというのがトライアル雇用の最大のメリットです。
他にもトライアル雇用を活用することで、求人広告費用などの採用コストを削減できます。
トライアル雇用利用時の注意点・デメリット
企業がトライアル雇用を利用するデメリットも抑えておかなくてはなりません。助成金が受給できる対象事業主であるかどうか細かい要件をすべて把握しておく必要があることやトライアル雇用を利用するためにそろえなくてはならない書類作成の手間、社会的にブランクがある労働者を採用するため、現場で戦力になるまで教育する労力や長いスパンで成長を見守る必要があるといったことがあげられます。
トライアル雇用人材の採用時のポイントは?
求人票に資格の有無、職務経験年数、処理できる業務内容に応じて具体的な給与額を提示することで、応募者が選考辞退や早期離職してしまうことを減らすことができます。長く働いてもらえる人材を採用したい場合、30歳以下の若年層を対象とした年齢制限のある「若年者等トライアル雇用」で求人を出すという方法もあります。
障害者の雇用に積極的な企業であれば、「障害者トライアル雇用」という条件で求人をだし、応募者の仕事に対する適性やサポートについて検討することもできます。障害者トライアル雇用に応募してくる人の中には、就労移行支援を利用している障害者もいます。応募者がサポート機関を利用して、ビジネスマナーや感情コントロール、パソコンスキルなど働くために必要なトレーニングを受けているのです。そういった状況の障害者を採用する際には、面接時にサポートスタッフが同行することもあります。
その場合、面接時に労働者が企業で働く際に必要なサポートの提案や企業ができることのすり合わせができ、ミスマッチを避けることができます。
トライアル雇用制度のまとめ
トライアル雇用とは?
トライアル雇用とは、厚生労働省が年齢や就業経験不足、出産や育児により長い期間仕事から離れてしまった女性など仕事に就くことが難しい労働者が職に就きやすいよう救済処置として作った制度。ハローワークから紹介されたトライアル雇用希望者を、企業が原則3ヶ月試雇採用することで職場に適応できるか判断し常用雇用へつなげていく採用システム。
トライアル雇用制度の助成金申請の流れは?
主な流れは、ハローワークへ求人票を提出・応募者と面接を実施、採用を検討・採用希望者の試雇採用を実施・トライアル雇用開始から2週間以内にトライアル実施計画書を提出・トライアル期間終了日から2ヶ月以内に助成金を申請。
トライアル雇用で採用を効率化するには?
長く働いてもらえる人材を採用したい場合、30歳以下の若年層対象の「若年者等トライアル雇用」で求人を出す方法も。障害者の雇用に積極的な企業であれば、「障害者トライアル雇用」で求人をだし、応募者の仕事に対する適性やサポートを検討することも可能。
採用ミスマッチを相互に防ぐリファレンスチェックも人気
完全同意型のオンライン前職調査とは
トライアル雇用制度は企業と応募者が双方にメリットがあり就業のミスマッチを防げる点が魅力ですが、適用条件が限られているのが難点です。トライアル雇用が適用できない企業・応募者や採用媒体であっても活用でき、いま注目を集めているのがリファレンスチェック・前職調査です。
リファレンスチェックを実施する前の人事担当者のかたのなかには、前職調査(リファレンスチェック)と聞くと応募者が職務経歴詐称をしていないか疑ったり、嘘を暴くようなネガティブなイメージがあるかもしれません。
しかし、リファレンスチェックは本来、採用担当者にとっても転職者にとってもメリットが多いポジティブなものです。
求人企業・人事担当者のリファレンスチェックのメリット
求人採用のミスマッチを減らせる
まず採用担当者にとって大きなメリットになるのが、採用ミスマッチを減らせることでしょう。採用担当者は、企業が求めている人材と応募者がマッチしているかを見抜かなければなりません。
しかし、書類選考時の履歴書や職務経歴書・ポートフォリオなどの書類と、面接の志望動機などの限られた情報だけで、それを見抜くのは難しいでしょう。そういったときにリファレンスチェックを行うことで、応募者の働きぶりを知る第三者からの評価情報を得ることができるため、企業が求める人材とマッチしているかをより正確に判断することができます。
採用効率をアップできる
また、転職活動・採用活動を効率化できるのもリファレンスチェックのメリットの一つです。多くの応募人材の中から、欲しい人材にマッチした候補者を選別するのは簡単なことではありませんし、選考が進んだ人材の受け入れ体制や育成には企業にとっても大きな負担がかかります。
採用の選考段階でリファレンスチェックを行えば、人事配置や内定を交付する前に求人像とのミスマッチを防いで業務プランを立てやすくなるので、採用活動がスムーズに進み採用担当者の負担も減ります。
転職希望者のリファレンスチェックのメリット
SPIなどの適性検査と違って、前職のことを調べられるということにはネガティブなイメージを持つ転職者もいるかもしれませんが、リファレンスチェックは転職者にも大きなメリットがあります。
まずリファレンスチェックは、転職者のネガティブな情報を集めるためではなく、あくまでも理解を深めるために行われるものです。
転職活動においては、面談・面接などで自己PRする機会がありますが、それだけでは自分の魅力が十分伝わらないこともあるでしょう。緊張してしまって、思ったように面接でこれまでの働きが伝えられないこともあります。
そういったときでも、リファレンスチェックを受けることで、緊張していない普段の働きぶりを知る第三者から見た自分の魅力やアピールポイントを採用担当者に伝えることができるのは大きなメリットです。もちろん、適切な方法で行えば違法性はなく、企業と転職者双方に多くのメリットがあります。
もし、転職活動の応募時にリファレンスチェックについて聞いていなかった企業で、選考段階でリファレンスチェックを受けて欲しいと伝えられても「疑われているのだろうか」と思わず、ぜひ正しく活用してください。
前職調査(リファレンスチェック)は必ずできる?同意について確認しよう
繰り返しになりますが、リファレンスチェックは応募者の同意を得て実施することが必須条件です。そのため、求人応募する時にリファレンスチェックへの同意を条件にしている企業もあるのは先に述べたとおりです。
また、選考を行う際の採用フローに、リファレンスチェックが組み込まれているケースもあるので、求人を探す時にはしっかりチェックしておきましょう。転職者の中には、リファレンスチェックに同意することに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、リファレンスチェックを受けたからといって、不利になるわけではありません。リファレンスチェックがどういったものかをしっかり理解すれば、転職者にとっても求人企業にとっても、メリットが大きいものだということが分かるでしょう。
そのため、まだ誤解を与えたりネガティブなイメージを持たれることもあるリファレンスチェックが本来どういうものかを、応募者に正しく理解してもらい、選考に前向きになってもらえるように働きかけることが大切です。
リファレンスチェックがおすすめの企業・おすすめできない企業
リファレンスチェック向きの企業 | リファレンスチェックに不向きの企業 |
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SPI・適性検査やスキルチェックなどの選考を採用フローに組み込んでいる企業 | 人材選考を履歴書・職務経歴書の書類選考と面接のみで実施している企業 |
応募者にリファレンスチェックへの同意を得ることができる企業 | 検討人材にリファレンスチェックの同意を得ることが難しい企業 |
人材採用後の配置や研修プランを計画的に組み立てたい企業 | 人材採用後の配置や研修プランは採用後にOJTのみで実施したい企業 |
中小企業の前職調査(リファレンスチェック)は経歴ドットインフォで
経歴.infoは、職場の離職率改善や人材採用効率化に悩む人事担当者のために生まれたオンライン完結型のリファレンスチェックです。やみくもに転職応募者の経歴詐称を疑うのではなく、前職での働きぶりや人柄にフォーカスし、採用予定者から指名されたヒアリング先に前職調査を行うことで面接だけではわからない求人応募者の人となりを認識しやすくすることを目的としています。
「また退職者が出てしまった」「引き継ぎの後任人材が採用できない」「キャリアプランの希望と実務内容が違うと後から言われてしまった」「今回採用する人材は、長く定着してくれるだろうか…」そんなお悩みを持つ中小企業にこそ、前職調査・リファレンスチェックをおすすめします。
すべては、会社の笑顔のために。一緒に働けるチームを作るために。リファレンスチェックなら、経歴.infoにおまかせください。
経歴.infoのリファレンスチェック(前職調査)料金一覧
1名分実施
(前職調査未完了時)
1人あたり
3名分実施
(前職調査未完了時)
1人あたり
6名分実施
(前職調査未完了時)
1人あたり
10名分実施
(前職調査未完了時)
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