ラポールとは?ビジネスでも注目の関係性構築スキルを人事向けに解説

リファレンスチェックで中小企業の人材採用効率化を支援する経歴.infoでは、これまで採用手法や人事評価のトレンド・話題のビジネススキルなどを紹介してきました。今回は、ビジネススキルのなかでもチームメンバーとの関係性構築に役立つスキルとして注目のラポールについて、意味やポイントを解説します。
コンテンツ目次
- 1 ラポールとは?ラポールの意味・語源
- 2 ラポールの形成状態と信頼関係・関係性
- 3 ラポールのビジネスシーンでの効果
- 4 ビジネスシーンでも活用!ラポール形成の手法と注意点
- 5 ビジネス上のラポール形成で気をつけたい注意点
- 6 信頼関係の回復に!ラポールの再構築のポイント
- 7 ナレッジマネジメントを活用
- 8 ビジネスのラポール形成で参考にしたい企業事例
- 9 中途採用人材のビジネススキル総合評価にリファレンスチェック
- 10 月額費用無料のリファレンスチェック完全同意型のオンライン前職調査とは
- 11 中小企業の前職調査(リファレンスチェック)は経歴ドットインフォで
- 12 経歴.infoのリファレンスチェック(前職調査)料金一覧
ラポールとは?ラポールの意味・語源
ラポールとは、互いに相手を信頼している融和状態のことを指します。フランス語の「橋を架ける」という言葉から派生したのが起源とされています。
ラポールはもともと、臨床心理学の用語として医師と患者との間に築かれる信頼関係を表す言葉でした。信頼関係こそが社会生活の基礎となるという考え方から、家族や学校、会社などあらゆるコミュニティーで広く使われるようになっています。
顕著な例として、スポーツの世界などでは選手のメンタルトレーニングを行う際に「指導者がラポールをうまく形成できないと効果的なコーチングを行うことができない」とされているほど、コミュニケーションをとるうえで重視されている概念です。
ラポールの形成状態と信頼関係・関係性
ラポールの概念と形成状態については、簡単に図で示すと以下のようになります。
ラポールの形成状態 | 関係性・信頼感 |
---|---|
良好に形成できている | 人間関係が円滑・良好、信頼関係が築かれている |
ラポールが形成できていない | 人間関係に支障・悪化、不信感を持たれている |
ラポールが形成できている状態であれば相手との信頼関係が築けていてコミュニケーションが円滑・人間関係が良好な状態です。反対にラポールがうまく形成できていない状態では、相手から不信感を持たれていたり十分な信頼関係が築けておらず、コミュニケーションに支障があり人間関係が悪化してしまうこともあります。
ラポールのビジネスシーンでの効果
ラポールは現代のビジネスシーンにおいても重視されています。なぜなら、信頼感に基づいた良好な人間関係が仕事を進めるうえで不可欠になることためです。
営業・セールスにおけるラポールの重要性
例えば営業活動において、取引先との信頼関係を築く以前に強引なセールス活動を行ってしまっても、相手に警戒心を抱かせるだけで商品は売れません。まず先方のニーズを分析し、抱えている問題に共感したうえで解決策を提案するという、一連の関係性の構築が成功につながる営業の前提となるのです。
社内の人間関係におけるラポールの重要性
このことは同様に社内の人間関係にも当てはまります。上司や同僚、部下との間にラポールが形成されていれば、活力に満ちた明るい職場環境が生まれます。反対に、不信感に満ちた職場は常にギスギスした雰囲気で、個々のモチベーションも停滞してしまいます。
人事とラポールの関係性
信頼関係が損なわれ労働環境が悪化した職場では、生産性が上がらないばかりではなく、雰囲気に嫌気がさして離職者が増加するという負のスパイラルに陥るケースが生まれてくることにもなります。
社員の働きがいや人材の安定雇用の観点からも、こういった事態に陥らないよう、最近では人材育成や人事考課にラポールを重視する企業が非常に増えてきました。
ビジネスシーンでも活用!ラポール形成の手法と注意点
ラポールを形成すれば、人間関係が円滑になり、相手が心を開いて本音を伝えてくれたり、こちらの言うことをしっかりと聞いてくれたりなど、ビジネス上さまざまなメリットを生むようになります。ラポールは本来、誠意を持って相手に接し、好意と敬意を表す中でじっくりと形成されていくものですが、実はテクニックを使って効率的・意図的に築き上げることもできるのです。
ラポール形成に役立つミラーリングで相手を真似る
そのテクニックの一つに「ミラーリング」があります。これは、相手の動作や仕草を鏡に映しているかのようにそっくりそのまま真似る方法です。
人は自分に似た動きに安心し、親近感を抱くという性質があるとされています。ミラーリングをすることで、無意識のうちに相手の好意を獲得することができるのです。
ラポール形成に役立つマッチングで相手に合わせる
また、ラポール形成に効果的なもうひとつの手法として「マッチング」というテクニックもあります。これは、仕草や動作ではなく聴覚に重点を置いて相手に合わせる方法です。
相手の声の調子、テンポやリズム、息継ぎのタイミングなど耳から伝わる情報を真似することで、相手に安心感を与え、親近感を抱いてもらうのがポイントです。
ビジネス上のラポール形成で気をつけたい注意点
ラポールを形成して信頼関係を構築するうえで、気をつけたい注意点については以下のようなものがあります。
- 相手に対する敬意が見られない
- 相手に好意を抱いているという印象を与えていない
- 不自然にわざとらしく相手を真似てしまう
- 信頼関係を築きたい相手を否定してしまう
- 自分と違う考え方を認めない、受け入れようとしない
- テクニックがあれば短時間で関係性を築けると誤解してしまう
それぞれの注意点やデメリットについて解説していきましょう。
わざとらしいミラーリング・マッチングはラポール形成の逆効果に
ラポール形成に役立つ方法として上記で紹介したミラーリングとマッチングは、いずれも相手の仕草や声などを真似る方法です。しかし、真似の仕方があまりにわざとらしいと、良好な信頼関係を構築したいと考えている相手にかえって反発を招くことにもなりかねません。
あくまでも相手に悟られないよう、さりげなく行う必要があります。ラポールを形成するうえでは他にも注意点があります。
信頼関係を構築したい相手を否定しない・好意と敬意を持って接する
ラポールの形成で最も大切なのは、相手を否定しないことです。そもそも時間をじっくりかけて相手との信頼関係を築くのがラポールの本質です。
しかし、いち早く関係を築きたいからとテクニックばかりに走り心の底で相手への敬意も好意も抱いていなければ、その気持ちは知らず知らずのうちに先方に伝わり、相手の不信感を招いてしまいます。
たとえ相手の考えが自分の考えと違っていたとしても受け入れて、ラポールの本質である先方への好意と敬意をもって接しなくてはなりません。
信頼関係の回復に!ラポールの再構築のポイント
チームメンバーとの関係性など、これまでせっかく築いたラポールが何らかの理由で壊れてしまったときには、再構築に向け相手と自分との関係のズレを認識する必要があります。
1on1等を活用し、ラポール形成の反省点を確認
例えばそれが部下との関係であれば、能力を過大評価しすぎて放任してしまったのではないか、あるいは過小評価して干渉しすぎたのではないか、など反省点を洗い出します。
そのうえで再度、部下との定期的な1対1面談を行い、現状の把握とアドバイス、モチベーションアップなどをはかりながらラポールの再構築につとめていくことが求められます。
研修やセミナーで客観的な視点を得る
一方、ラポールは多分に主観的な要素を含んだマネジメント手法でもあります。再構築のたびに担当者の勘に頼っていては人事における継続性がはかられません。これを改善するためには、ラポール形成に役立つソリューションとして、社内でコミュニケーション研修やコーチング研修を行ったり、プロの講師による対人関係セミナーを受講するのも一案です。
【初級管理職向け】部下とのラポール形成・タイプ別接し方研修|人材育成・社員研修・eラーニングならJBMコンサルタント
人間関係の基盤、信頼関係を構築するために欠かせない管理職の部下とのコミュニケーションの考え方とポイントについて学びます。管理職は、日常会話(日々のコミュニケーション)で、部下とラポール(信頼関係)を形成し、成長会話(成長を促す言葉がけ)により、部下の成長を促していく事が欠かせません。ロールプレイングを通じて、「日常会話」「成長会話」「ラポール形成」の実践ポイントを習得していきます。
ナレッジマネジメントを活用
また、個人の知識や経験を組織的に共有し、それを企業の発展につなげていくナレッジマネジメントという経営手法が役立ちます。
ナレッジマネジメントには、共同化、表出化、連結化、内面化の各プロセスがあります。共同化は個人の知識や経験を同じ作業を一緒に行いながら共有化する過程、表出化は個人の知識や経験をマニュアルなどに変換して共有化する過程、連結化は表出化されたいくつかの事例をまとめて広く共有する過程、内面化は、連結化によって新たに得られた組織の共有知識を個人の中に落とし込む過程です。
この一連のサイクルを何度も繰り返すことによって、勘や理念といった個人の主観が組織の共有知識として定着していくことになります。
ビジネスのラポール形成で参考にしたい企業事例
例えば医薬品メーカーのエーザイは、この手法で企業理念の「ヒューマンヘルスケアカンパニー」を社員に体得させることに成功しました。
すなわち、共同化として、全社員が業務時間の1パーセントを患者と過ごすことを義務づけ、表出化として、そこから得た課題を持ち帰ってまとめる。そして連結化として、世界中の各部門がそれぞれの課題を持ち寄って全社で共有し、内面化として意識改革をはかりながら各自が理念を自覚する、というのがその内容です。
これらは、抽象的な概念を組織的に共有化するプロセスという意味で、ラポールの形成に役立つ一つの具体例といえるでしょう。
ラポール形成以外にもエーザイでは、コンプライアンス遵守のための行動指針として「ビジネスパートナーのための行動指針」を公開しており、社内の価値観や規範が明文化されています。
中途採用人材のビジネススキル総合評価にリファレンスチェック
このようにラポールは、ビジネスシーンでも円滑なマネジメントやチームメンバーとの人間関係に重要なスキルのひとつです。既存の社員にラポール形成の重要さを知ってもらうには社内勉強会や人事研修・セミナーが有効ですが、これから採用を検討している中途人材のビジネススキルを判断するうえで選考評価にいま注目されているのがリファレンスチェックです。
リファレンスチェックでは、前職の上司や同僚など選考人材自身が指定した人物にこれまでの働きぶりやビジネススキル・マインドなどのヒアリングを合法的に行います。ヒアリング結果のリファレンスチェック資料では、これまで履歴書や職務経歴書・面接での印象や自己PR・適性検査でしか知ることができなかった採用人材の客観的なデータが得られるため、採用活動を合理的に進めることが可能です。
これまでの仕事でチームメンバーとのラポール形成に長けている人物だったか、ビジネスパートナーとの信頼関係の構築を得意としているか、反対に人間関係の構築に苦手意識がある傾向かなども推測できるため、採用後の配置や人材育成・業務サポートなどの計画も立てやすくなるのがポイントです。
月額費用無料のリファレンスチェック
完全同意型のオンライン前職調査とは
リファレンスチェックは、採用担当者にとっても転職者にとってもメリットが多いポジティブなものです。
求人企業・人事担当者のリファレンスチェックのメリット
求人採用のミスマッチを減らせる
まず採用担当者にとって大きなメリットになるのが、採用ミスマッチを減らせることでしょう。採用担当者は、企業が求めている人材と応募者がマッチしているかを見抜かなければなりません。
しかし、書類選考時の履歴書や職務経歴書・ポートフォリオなどの書類と、面接の志望動機などの限られた情報だけで、それを見抜くのは難しいでしょう。そういったときにリファレンスチェックを行うことで、応募者の働きぶりを知る第三者からの評価情報を得ることができるため、企業が求める人材とマッチしているかをより正確に判断することができます。
採用効率をアップできる
また、転職活動・採用活動を効率化できるのもリファレンスチェックのメリットの一つです。多くの応募人材の中から、欲しい人材にマッチした候補者を選別するのは簡単なことではありませんし、選考が進んだ人材の受け入れ体制や育成には企業にとっても大きな負担がかかります。
採用の選考段階でリファレンスチェックを行えば、人事配置や内定を交付する前に求人像とのミスマッチを防いで業務プランを立てやすくなるので、採用活動がスムーズに進み採用担当者の負担も減ります。
転職希望者のリファレンスチェックのメリット
SPIなどの適性検査と違って、前職のことを調べられるということにはネガティブなイメージを持つ転職者もいるかもしれませんが、リファレンスチェックは転職者にも大きなメリットがあります。
まずリファレンスチェックは、転職者のネガティブな情報を集めるためではなく、あくまでも理解を深めるために行われるものです。
転職活動においては、面談・面接などで自己PRする機会がありますが、それだけでは自分の魅力が十分伝わらないこともあるでしょう。緊張してしまって、思ったように面接でこれまでの働きが伝えられないこともあります。
そういったときでも、リファレンスチェックを受けることで、緊張していない普段の働きぶりを知る第三者から見た自分の魅力やアピールポイントを採用担当者に伝えることができるのは大きなメリットです。もちろん、適切な方法で行えば違法性はなく、企業と転職者双方に多くのメリットがあります。
もし、転職活動の応募時にリファレンスチェックについて聞いていなかった企業で、選考段階でリファレンスチェックを受けて欲しいと伝えられても「疑われているのだろうか」と思わず、ぜひ正しく活用してください。
前職調査(リファレンスチェック)は必ずできる?同意について確認しよう
繰り返しになりますが、リファレンスチェックは応募者の同意を得て実施することが必須条件です。そのため、求人応募する時にリファレンスチェックへの同意を条件にしている企業もあるのは先に述べたとおりです。
また、選考を行う際の採用フローに、リファレンスチェックが組み込まれているケースもあるので、求人を探す時にはしっかりチェックしておきましょう。転職者の中には、リファレンスチェックに同意することに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、リファレンスチェックを受けたからといって、不利になるわけではありません。リファレンスチェックがどういったものかをしっかり理解すれば、転職者にとっても求人企業にとっても、メリットが大きいものだということが分かるでしょう。
そのため、まだ誤解を与えたりネガティブなイメージを持たれることもあるリファレンスチェックが本来どういうものかを、応募者に正しく理解してもらい、選考に前向きになってもらえるように働きかけることが大切です。
リファレンスチェックがおすすめの企業・おすすめできない企業
リファレンスチェック向きの企業 | リファレンスチェックに不向きの企業 |
---|---|
SPI・適性検査やスキルチェックなどの選考を採用フローに組み込んでいる企業 | 人材選考を履歴書・職務経歴書の書類選考と面接のみで実施している企業 |
応募者にリファレンスチェックへの同意を得ることができる企業 | 検討人材にリファレンスチェックの同意を得ることが難しい企業 |
人材採用後の配置や研修プランを計画的に組み立てたい企業 | 人材採用後の配置や研修プランは採用後にOJTのみで実施したい企業 |
中小企業の前職調査(リファレンスチェック)は経歴ドットインフォで
経歴.infoは、職場の離職率改善や人材採用効率化に悩む人事担当者のために生まれたオンライン完結型のリファレンスチェックです。やみくもに転職応募者の経歴詐称を疑うのではなく、前職での働きぶりや人柄にフォーカスし、採用予定者から指名されたヒアリング先に前職調査を行うことで面接だけではわからない求人応募者の人となりを認識しやすくすることを目的としています。
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