OKR・SMARTの法則とは?人事も注目の目標管理手法の特徴とKPI・MBOとの違い

リファレンスチェックで中小企業の人材採用効率化を支援する経歴.infoでは、これまで採用手法や人事評価のトレンド・話題のビジネススキルなどを紹介してきました。今回は、目標管理手法として人事からも注目が集まるOKRについて、その背景やOKRの意味・目標を解説するとともに、Googleやメルカリなどの企業導入事例を紹介します。
コンテンツ目次
OKRとは?OKRの意味と目的
OKRは、Objectives and Key Resultの略語で、高い目標設定によって主要な成果を得るフレームワークのことです。「企業が設定する目標と、そこで働く社員の目標をつなげて主要な成果を得る手法」と考えれば、理解しやすいかもしれません。OKRはインテル社で生まれ、そこからアメリカ・シリコンバレーのIT企業を中心に導入が広がっていきました。日本では、目標管理手法とも呼ばれています。
Objectivesは達成目標、Key Resultsは主要な成果を指し、この2つを設定してチームが同一の課題に取り組みます。これまでの目標管理・計画手法よりも質が高く、社内メンバーによって目的を見失わずにプロジェクトを進められる点が特徴です。
OKRと混同されやすい目標管理手法には以下のようなものがあります。それぞれの特徴と違いについても、この記事で解説していきます。
- OKR
- KPI
- KGI
- MBO
- ノルマ
OKR導入企業が増加している背景
従来の業績や人事評価のなかには、一部上司による主観の割合が多く、満足できない社員も少なくありませんでした。また、多くの企業では社員のグローバル化が進み、さまざまな国の出身者を雇用しています。このようなダイバーシティの観点からも、社員それぞれの価値観に応じた客観的な評価が必要になっています。
OKRでは、業績や人事評価に関する主要な成果を客観的な数値で表せるため、課題解決の手段として導入する企業が増えているという背景があります。
国内外企業のOKR導入事例
具体的なOKRの導入事例について、代表的な2社を紹介します。
GoogleによるOKR導入事例
検索エンジンをはじめとした世界的企業のGoogleは、インテルで生まれたOKRを他社に先駆けて導入した企業です。
Googleでは、社員それぞれに高い目標を設定させたうえで、その達成率を50〜70%程度に設定しています。100%の達成率を求めないのは、社員のパフォーマンスを最大化するには、この程度の達成率が最適と考えているからです。
また、Googleでは、幹部を含めた全社員のOKRを公開して社内の透明性を高めることで、ボトムアップが可能な風通しの良い企業風土の実現に成功しています。
メルカリによるOKR導入事例
また、フリマアプリを運営するメルカリでは、国内では比較的早い段階からOKRを導入しています。
メルカリにおけるOKRの特徴は、OKRに関する上司と部下による1対1の面談と、定期的な評価と見直しの実行です。メルカリでは、OKRについて上司と部下が話し合いを重ねることで、挑戦的な目標の設定を実現しています。また、3カ月に一度程度の割合でチェックインミーティングを行い、主要な成果の進捗具合や改善点などを共有しています。
こういった手法の実践によって、社内メンバーがよりわくわくできる目標の設定と、チームとしての一体感の醸成に成功しています。1on1ミーティングとも関連するオンボーディングについては、以下のコラムでも紹介していますので参考にしてみてください。
OKRの特徴
OKRでは、大きな数値目標を設定しつつも100%の達成を義務付けません。そのため、社員は強いプレッシャーを感じずに、目標に向かって意欲的に働くことが可能になります。
その結果として、エンゲージメントと呼ばれる、会社への愛着心や貢献心などが高まると考えられています。絶対に目標を達成しなければならないという切迫感から解放されるため、従来のノルマやKPIよりも柔軟性があることが特徴です。
OKR作成時に重要な原則(SMARTの法則)とは
OKRの目標設定には、Specific(明瞭である)・Measurable(測定可能である)・Attainable(達成可能である)・Relevant(関連性がある)・Time-bound(期限がある)の頭文字をとった、SMARTと呼ばれる5つの原則があります。OKRを作成する際には、このSMARTを前提にすることが大切です。
OKR目標設定の項目 | 5原則(SMARTの法則)の意味 |
---|---|
Specific | 明瞭である |
Measurable | 測定可能である |
Attainable | 達成可能である |
Relevant | 関連性がある |
Time-bound | 期限がある |
つまり、目標が明確でなく・定量的に評価ができず(定性的・感覚的・抽象的)・達成が非現実的で・関連性がなく・期限がないものはOKRの原則に合致していません。社内で目標設定をした際には、本当に実行可能かどうか、SMARTの法則と照合してみるのがおすすめです。
また、OKRを活用した目標管理は一度きりにとどまりません。繰り返しプロジェクトを進めていくなかで、ブラッシュアップに役立つPDCA・OODAについても下記のコラムで紹介していますので参考にしてみてください。
OKRとノルマ・KPI・KGI・MBOの違い
なお、OKRと混同しやすい目標管理手法にノルマ・KPI・KGI・MBOなどがあります。OKRについてより深くできるよう、これらの手法との違いや特徴などを解説します。
目標管理手法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ノルマ | 最低限の成果が確実に得られる | 社員に強いプレッシャーの危険 |
KPI(Key Performance Indicator) | 社員が目標を意識しやすい | 誤用で社内に混乱が生じることも |
KGI(Key Goal Indicator) | 明確なゴール・ビジョン共有 | 曖昧な目標は逆効果に |
MBO(Management By Objectives) | 社員自身が目標設定できる | 統一性のない目標設定の懸念 |
OKR(Objectives and Key Results) | 同じゴールへ柔軟に進める | 目標設定時のSMART確認が重要 |
KPIとOKRの違い
KPIとは、Key Performance Indicatorの略語で、100%の達成が要求されるフレームワークのことです。日本では、重要業績評価指標とも呼ばれています。
社員が目標を意識しやすいメリットがある一方で、使い方によっては社内に混乱をきたすデメリットも指摘されています。
ノルマとOKRの違い
ノルマとは、最低限度の達成すべきラインのことです。ノルマを設定することで、達成したい最低限度の主要な成果を確実に得ることができます。
ただし、ノルマを設定することで社員は強いプレッシャーにさらされ、心身ともに疲弊する可能性が高くなります。
KGIとOKRの違い
KGIとは、Key Goal Indicatorの略語で、経営戦略達成のゴールとして数値や指標を設定するフレームワークのことです。日本では、重要目標達成指標とも呼ばれています。目標達成のゴールが明確化されるため、社員のモチベーションアップが可能です。
ただし、あいまいな目標を設定してしまうとゴールが不明確になり、社員が混乱してやる気を失う可能性が考えられます。
MBOとOKRの違い
MBOとは、Management By Objectivesの略語で、社員が設定した目標を自分で評価するフレームワークのことです。日本では、目標管理とも呼ばれています。主要な成果を自分で評価できるため、業務の効率化に役立ちます。
ただ、社員が自分で目標設定するため、統一性のない目標が設定されてしまう点には注意が必要です。
OKRによる目標管理の運用方法とおすすめツール
OKRでは、企業全体や部署ごとに目標を設定・管理することで、社員の意識を統一できます。本項目では、そのための運用方法と便利なOKRツールを紹介します。
OKR目標管理の運用方法
OKRの運用の流れは以下の通りです。
- SMARTの原則に基づく目標設定
- OKRの社内周知と実行
- 1on1など、社内フィードバックの仕組みを構築
- 成果の測定、進捗状況の可視化と共有
まずは、目標を設定します。目標には、数値による定性的な企業全体の目標と、部署や社員ごとの細分化した目標があります。無難な目標ではなく、なるべく高く挑戦的な目標を設定することが重要です。続いて必要なのが、目標に対する主要な成果の設定です。主要な成果は、なるべく1つの目標に3つ程度設定し、計測可能なものであることが必要です。具体的には、先ほどのSMARTの法則を活用しましょう。
次に、全体の進捗具合の把握や、コミュニケーションの活発化のためにOKRをオープンにします。そのうえで、社内にフィードバックの仕組みを構築します。フィードバックには、メルカリが導入している1対1の面談方式が効果的です。最後に、主要な成果の測定を行って進捗状況を見える化します。
あくまでも目標に対して100%完遂を目指すのではなく、柔軟に・同じゴールに向かって・モチベーションを向上させながら進めていくことがポイントです。
おすすめのOKRツール・社員研修セミナー
人事評価システムのなかには、誰でも簡単にOKRを作成できるツールがあります。エクセルのような操作感覚で直感的に作業が進められ、すべての項目を担当者が自由に作成できます。進捗状況を見える化できるため、結果の取りまとめも簡単です。
また、OKRの導入を考えている会社に向けた研修やセミナーも用意されています。このようなツールや研修・セミナーを活用することで、より効果的なOKRの運用が可能になります。
目標管理『OKR』導入セミナー(オンライン) | 日本能率協会(JMAマネジメントスクール)
近年、グーグルなど世界的に勢いのある有名企業が採用していることで注目された目標管理「OKR(ObjectivesandKeyResults)」ですが、最近では日本の大手企業でも導入が進んでいます。本セミナーでは、組織課題に合わせた設定から運用までを理解し、会社やチームでの導入を着実に進めることができるポイントをお伝えします。
SMARTな中途採用人材の評価にリファレンスチェック
OKRの目標設定で重要なSMARTの原則は、業務上のプロジェクトはもちろん人事の採用活動にもあてはまります。スムーズな希望人材の採用を手助けするソリューションとして、いま注目されているのが前職調査をかねたリファレンスチェックです。
リファレンスチェックでは、前職の上司や同僚など選考人材自身が指定した人物にこれまでの働きぶりやビジネススキル・マインドなどのヒアリングを合法的に行います。ヒアリング結果のリファレンスチェック資料では、これまで履歴書や職務経歴書・面接での印象や自己PR・適性検査でしか知ることができなかった採用人材の客観的なデータが得られるため、採用活動を合理的に進めることが可能です。
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リファレンスチェックは、採用担当者にとっても転職者にとってもメリットが多いポジティブなものです。
求人企業・人事担当者のリファレンスチェックのメリット
求人採用のミスマッチを減らせる
まず採用担当者にとって大きなメリットになるのが、採用ミスマッチを減らせることでしょう。採用担当者は、企業が求めている人材と応募者がマッチしているかを見抜かなければなりません。
しかし、書類選考時の履歴書や職務経歴書・ポートフォリオなどの書類と、面接の志望動機などの限られた情報だけで、それを見抜くのは難しいでしょう。そういったときにリファレンスチェックを行うことで、応募者の働きぶりを知る第三者からの評価情報を得ることができるため、企業が求める人材とマッチしているかをより正確に判断することができます。
採用効率をアップできる
また、転職活動・採用活動を効率化できるのもリファレンスチェックのメリットの一つです。多くの応募人材の中から、欲しい人材にマッチした候補者を選別するのは簡単なことではありませんし、選考が進んだ人材の受け入れ体制や育成には企業にとっても大きな負担がかかります。
採用の選考段階でリファレンスチェックを行えば、人事配置や内定を交付する前に求人像とのミスマッチを防いで業務プランを立てやすくなるので、採用活動がスムーズに進み採用担当者の負担も減ります。
転職希望者のリファレンスチェックのメリット
SPIなどの適性検査と違って、前職のことを調べられるということにはネガティブなイメージを持つ転職者もいるかもしれませんが、リファレンスチェックは転職者にも大きなメリットがあります。
まずリファレンスチェックは、転職者のネガティブな情報を集めるためではなく、あくまでも理解を深めるために行われるものです。
転職活動においては、面談・面接などで自己PRする機会がありますが、それだけでは自分の魅力が十分伝わらないこともあるでしょう。緊張してしまって、思ったように面接でこれまでの働きが伝えられないこともあります。
そういったときでも、リファレンスチェックを受けることで、緊張していない普段の働きぶりを知る第三者から見た自分の魅力やアピールポイントを採用担当者に伝えることができるのは大きなメリットです。もちろん、適切な方法で行えば違法性はなく、企業と転職者双方に多くのメリットがあります。
もし、転職活動の応募時にリファレンスチェックについて聞いていなかった企業で、選考段階でリファレンスチェックを受けて欲しいと伝えられても「疑われているのだろうか」と思わず、ぜひ正しく活用してください。
前職調査(リファレンスチェック)は必ずできる?同意について確認しよう
繰り返しになりますが、リファレンスチェックは応募者の同意を得て実施することが必須条件です。そのため、求人応募する時にリファレンスチェックへの同意を条件にしている企業もあるのは先に述べたとおりです。
また、選考を行う際の採用フローに、リファレンスチェックが組み込まれているケースもあるので、求人を探す時にはしっかりチェックしておきましょう。転職者の中には、リファレンスチェックに同意することに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、リファレンスチェックを受けたからといって、不利になるわけではありません。リファレンスチェックがどういったものかをしっかり理解すれば、転職者にとっても求人企業にとっても、メリットが大きいものだということが分かるでしょう。
そのため、まだ誤解を与えたりネガティブなイメージを持たれることもあるリファレンスチェックが本来どういうものかを、応募者に正しく理解してもらい、選考に前向きになってもらえるように働きかけることが大切です。
リファレンスチェックがおすすめの企業・おすすめできない企業
リファレンスチェック向きの企業 | リファレンスチェックに不向きの企業 |
---|---|
SPI・適性検査やスキルチェックなどの選考を採用フローに組み込んでいる企業 | 人材選考を履歴書・職務経歴書の書類選考と面接のみで実施している企業 |
応募者にリファレンスチェックへの同意を得ることができる企業 | 検討人材にリファレンスチェックの同意を得ることが難しい企業 |
人材採用後の配置や研修プランを計画的に組み立てたい企業 | 人材採用後の配置や研修プランは採用後にOJTのみで実施したい企業 |
中小企業の前職調査(リファレンスチェック)は経歴ドットインフォで
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