エンパワメント(エンパワーメント)とは?人事が抑えたいビジネススキル エンパワメントの強み

中小企業の人材採用効率化を応援する経歴.infoでは、これまで人事DXや採用手法・人事評価のトレンドなどを紹介してきました。今回は、ビジネス用語や看護用語としても注目されるエンパワメントについて解説していきます。
コンテンツ目次
エンパワメントとは?ビジネス用語としても知っておきたい意味と定義
エンパワメント(empowerment)とは、もともと1960年代の欧米で生まれた概念であり、「人に実力や自信を付けさせること」を指す言葉です。
エンパワメントの歴史的背景と役割
人は、もしも性差別や人種差別などといったかたちで「自分たちは社会的に劣った存在だ」とレッテルを貼られてしまうと、たとえそれがどれだけ不当なレッテルであったとしても自信を失ってしまいます。1960年代から積極的に行われるようになった公民権運動が成功するためには、まずそうして失われてしまった被差別者の自信を取り戻してあげる必要がありました。そこで生まれたのがエンパワメントという概念です。
自信をなくしてしまった人をただ支援するのではなく、彼らが自分の力で立ち上がれるようにすることが大切。そんなエンパワメントという概念が浸透していくことで、公民権運動は多くの成果を残しました。
エンパワメントという概念は、現代の多様性を認め差別の撤廃を目指す社会が作られるうえで、非常に大きな役割を果たしたのです。
ビジネスシーンにおけるエンパワメントとは
そんなエンパワメントという概念ですが、現代ではビジネス用語や看護用語としてもよく使われる言葉となっています。
ビジネスの場におけるエンパワメントという言葉には「企業に所属する一人ひとりが、自発的に業務をこなせるよう促すこと」という意味があります。例えば、一般社員に管理職が持つような権限を与えることで、社員の判断力や自己決定能力を伸ばそうとする試みなどは、エンパワメントの一種といえるでしょう。エンパワメントは社員の能力向上、会社の組織力強化などを目的に、様々な企業で行われるようになっています。
なお、単に仕事のアドバイスや手助けの意味合いでエンパワメントという言葉が使われるケースが見られますが、厳密にいうとこの使い方は間違いです。エンパワメントはあくまでも促しの一種であり、アドバイスや手助けといった直接的な補助を指す言葉ではありません。
ビジネスのエンパワメントの3つの種類
ビジネスにおけるエンパワメントは、セルフエンパワメント、ピアエンパワメント、コミュニティエンパワメントの3種類に大別されます。
- 個人のセルフエンパワメント
- 仲間とのピアエンパワメント
- 集団でのコミュニティエンパワメント
それぞれ、対象者や効果に違いがあるため特徴をおさえておきましょう。
セルフエンパワメント
まずセルフエンパワメントですが、「自己理解を深めることで、仕事に対する意欲や能力を引き出していくエンパワメント」のことを指します。セルフエンパワメントの特徴としては、企業が促すかたちで行われるのでなく、個人間で行われる場合が多いことが挙げられます。いわゆる自己啓発などの試みは、セルフエンパワメントに分類されることが多いです。
ピアエンパワメント
ピアエンパワメントのピアは仲間を指します。その文言が指し示す通り、「仲間と支え合うことで、仕事に対する意欲や能力を引き出していくエンパワメント」のことです。同じ悩みを持つ仲間との励まし合いなどがピアエンパワメントに当たり、仕事に対する自尊心や意欲を取り戻すのに大きな効果があります。
コミュニティエンパワメント
コミュニティエンパワメントとは、「集団(コミュニティ)の機能を強化することで、仕事に対する意欲や能力を引き出していくエンパワメント」のことです。
例えば、必要とされている会社制度や設備が無い場合、それを新たに整備することで社員の意欲や能力を引き出そうとすることは、コミュニティエンパワメントに当たります。企業側が率先してエンパワメントを行おうとする場合、それはコミュニティエンパワメントに分類されるでしょう。
エンパワメント相乗モデル・企業事例
種類としては3つに分けられるエンパワメントですが、実際に効果を挙げるためにはそれらを組み合わせて行うことが重要だとされています。複数のエンパワメントが組み合わさった結果、その効果が発揮されている状態をエンパワメント相乗モデルと呼びますが、エンパワメント相乗モデルを実現している企業はまだまだ少ないのが実情です。
エンパワメント相乗モデルを実現している企業のひとつ、メルカリでは、企業内だけに留まらず顧客や地域をも巻き込んだエンパワメントを行うことで、業績の向上だけでなく、社会に必要不可欠な企業として価値を高めています。
地域活性化
株式会社メルカリは地域が抱える課題解決に取り組むことで、地域経済への貢献を通じて個人や企業が活躍できる社会を目指します。
中小企業の人材がエンパワメントを実現するには?人事向けサポート
一般社員の能力評価・タスク権限移譲
中小企業がすぐにできるエンパワメントへの取り組みとしては、一般社員への権限移譲が挙げられます。これまで管理職が下してきた判断を一般社員に任せるようにすることで、本来ならば長い時間をかけて育てる管理職としての素養を、より短期間で開花させることができるでしょう。
ただし、準備期間を持たずに権限移譲を行ってしまうと、かえって社員を委縮させてしまう結果に繋がったり、社員個人個人の自主性が向上することで社内での意見の食い違いが起きやすくなる点には注意が必要です。
中長期の社員の成長を視野にエンパワメントを
なおエンパワメントを行う目的は、あくまでも長い目で見た社員の成長にこそあります。一時的な業績向上を求めてエンパワメントを行うのは危険で、社員が判断した内容によっては大きな損失が発生する可能性もあります。社員にどの程度の権限を移譲するのかは、企業によって繊細なバランス調整が必要となるでしょう。
エンパワメントのNG例とポイント
ここまで述べたように、エンパワメントには注意点もいくつかあります。社員の意欲・能力を中長期に渡って引き出すためには、権限移譲や目的の明確さ・組織の在り方がネックとなってくるため、下記のポイントをおさえておきましょう。
- 乱暴な権限移譲による業務の丸投げはしない
- 業務の目的や目標を明確にする
- 社員が自発的に動ける、働ける組織を作る
- 組織の階層構造からセルフマネジメント重視のチームに移行する
- 経営者・管理者層が従業員を信じ、トップダウンからフラットな組織を目指す
- エンパワメントが困難な時期が訪れても乗り越える
エンパワメント研修・社員モチベーション研修も注目
こうしたポイントを抑えてエンパワメントを支援していくために、企業向けの社員研修も多く実施されています。エンパワメント研修は、主催企業によって全社員向けやプロジェクトマネージャー対象・中堅社員・管理職対象などさまざまなプログラムが用意されているので、社員にエンパワメントの意識付けを行いたい企業では手軽に導入できる手段ともいえます。
PMのためのチーム・エンパワーメント-チーム力を高める-
チーム(プロジェクト)のパフォーマンスを高めるための体験学習です。そのためにはまずSPトランプを用いて自己を理解します。そして他者やチームを理解し、それぞれへの効果的な対応方法を学習します。
モチベーション向上・リーダーシップ開発「エンパワーリング」研修 – パーソル総合研究所
パーソル総合研究所はPERSOL(パーソル)グループのシンクタンクです。お客様の人事課題に「寄り添い続けるパートナー」として、組織・人事コンサルティング、人材開発・社員研修、ピープルアナリティクス、人材アセスメント、タレントマネジメントまでを網羅。調査研究レポートやコラム・セミナー情報などのメルマガも。
エンパワーメントを支援する研修 | 講師力のビズパワーズ
エンパワーメントを実現するためには、上司のリーダーシップ強化と、エンパワーメントされる部下や現場スタッフのミッションへの責任感(意識)や主体的なモチベーションが必要です。リーダーシップ研修やワークショップによる意識改革が必要になります。
社員の意欲・能力を引き出す人事DX
また、エンパワメントに限らず従業員の意欲や満足度、不満を正確に把握するためには人材データの可視化や管理も不可欠です。近年では、人事管理システム・社員管理システムのように従業員のモチベーションや過去の評価を一元管理できるツールも浸透してきています。こうしたツールを利用し、エンパワメントを始めとした適切なサポートを行うことも効果的です。
そのほか、中途採用人材では選考時にリファレンスチェックを実施することでエンパワメントのサポートが必要かどうか、入社後の人事サポートの判断材料とすることも可能です。リファレンスチェックでこれまでの働き方を知ることで、例えば、前職ではチャレンジ精神があったが機会が少なかった人材には積極的なエンパワメント対策を行うことができ、本人の能力以上の業務負荷が高くストレスに感じていた人材には無理のない研修・サポート体制を組むことができます。
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リファレンスチェックは、採用担当者にとっても転職者にとってもメリットが多いポジティブなものです。
求人企業・人事担当者のリファレンスチェックのメリット
求人採用のミスマッチを減らせる
まず採用担当者にとって大きなメリットになるのが、採用ミスマッチを減らせることでしょう。採用担当者は、企業が求めている人材と応募者がマッチしているかを見抜かなければなりません。
しかし、書類選考時の履歴書や職務経歴書・ポートフォリオなどの書類と、面接の志望動機などの限られた情報だけで、それを見抜くのは難しいでしょう。そういったときにリファレンスチェックを行うことで、応募者の働きぶりを知る第三者からの評価情報を得ることができるため、企業が求める人材とマッチしているかをより正確に判断することができます。
採用効率をアップできる
また、転職活動・採用活動を効率化できるのもリファレンスチェックのメリットの一つです。多くの応募人材の中から、欲しい人材にマッチした候補者を選別するのは簡単なことではありませんし、選考が進んだ人材の受け入れ体制や育成には企業にとっても大きな負担がかかります。
採用の選考段階でリファレンスチェックを行えば、人事配置や内定を交付する前に求人像とのミスマッチを防いで業務プランを立てやすくなるので、採用活動がスムーズに進み採用担当者の負担も減ります。
転職希望者のリファレンスチェックのメリット
SPIなどの適性検査と違って、前職のことを調べられるということにはネガティブなイメージを持つ転職者もいるかもしれませんが、リファレンスチェックは転職者にも大きなメリットがあります。
まずリファレンスチェックは、転職者のネガティブな情報を集めるためではなく、あくまでも理解を深めるために行われるものです。
転職活動においては、面談・面接などで自己PRする機会がありますが、それだけでは自分の魅力が十分伝わらないこともあるでしょう。緊張してしまって、思ったように面接でこれまでの働きが伝えられないこともあります。
そういったときでも、リファレンスチェックを受けることで、緊張していない普段の働きぶりを知る第三者から見た自分の魅力やアピールポイントを採用担当者に伝えることができるのは大きなメリットです。もちろん、適切な方法で行えば違法性はなく、企業と転職者双方に多くのメリットがあります。
もし、転職活動の応募時にリファレンスチェックについて聞いていなかった企業で、選考段階でリファレンスチェックを受けて欲しいと伝えられても「疑われているのだろうか」と思わず、ぜひ正しく活用してください。
前職調査(リファレンスチェック)は必ずできる?同意について確認しよう
繰り返しになりますが、リファレンスチェックは応募者の同意を得て実施することが必須条件です。そのため、求人応募する時にリファレンスチェックへの同意を条件にしている企業もあるのは先に述べたとおりです。
また、選考を行う際の採用フローに、リファレンスチェックが組み込まれているケースもあるので、求人を探す時にはしっかりチェックしておきましょう。転職者の中には、リファレンスチェックに同意することに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、リファレンスチェックを受けたからといって、不利になるわけではありません。リファレンスチェックがどういったものかをしっかり理解すれば、転職者にとっても求人企業にとっても、メリットが大きいものだということが分かるでしょう。
そのため、まだ誤解を与えたりネガティブなイメージを持たれることもあるリファレンスチェックが本来どういうものかを、応募者に正しく理解してもらい、選考に前向きになってもらえるように働きかけることが大切です。
リファレンスチェックがおすすめの企業・おすすめできない企業
リファレンスチェック向きの企業 | リファレンスチェックに不向きの企業 |
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SPI・適性検査やスキルチェックなどの選考を採用フローに組み込んでいる企業 | 人材選考を履歴書・職務経歴書の書類選考と面接のみで実施している企業 |
応募者にリファレンスチェックへの同意を得ることができる企業 | 検討人材にリファレンスチェックの同意を得ることが難しい企業 |
人材採用後の配置や研修プランを計画的に組み立てたい企業 | 人材採用後の配置や研修プランは採用後にOJTのみで実施したい企業 |
中小企業の前職調査(リファレンスチェック)は経歴ドットインフォで
経歴.infoは、職場の離職率改善や人材採用効率化に悩む人事担当者のために生まれたオンライン完結型のリファレンスチェックです。やみくもに転職応募者の経歴詐称を疑うのではなく、前職での働きぶりや人柄にフォーカスし、採用予定者から指名されたヒアリング先に前職調査を行うことで面接だけではわからない求人応募者の人となりを認識しやすくすることを目的としています。
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